エネルギー資源が乏しく、国際連系線がないこと等から、エネルギー供給構造が極めて脆弱な我が国にとって、原子力を含むすべてのエネルギーをバランスよく利用することが大切であり、原子力も重要な選択肢の一つとして、エネルギー政策を進めてきています。
また、原子力開発を進めるにあたっては、「資源の有効利用」「放射性廃棄物の減容化」「有害度(放射能レベル)低減」等の観点から、エネルギー基本計画において原子力発電所で使い終わった燃料(使用済燃料)を再処理し、回収されるウランやプルトニウムを有効利用する核燃料サイクルの推進を基本方針としています。
2011年に発生した東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所事故に対して、真摯に反省するとともに、直面しているエネルギー供給力の確保や地球温暖化対策等の課題に責任を持って対応していくため、国民からの社会的な信頼を獲得し、安全確保を大前提に、原子力発電所の再稼働や使用済燃料対策、核燃料サイクル、最終処分、廃炉等の原子力事業を取り巻く様々な課題に対して、総合的かつ責任ある取組みを進めていくこととしています。
世界的規模で異常気象が発生し、気候変動問題への対応が喫緊の課題と認識される中、「第7次エネルギー基本計画(2025年2月閣議決定」では、2050年カーボンニュートラルを実現するために、原子力については、国民からの信頼確保に努め、安全性の確保を大前提に、必要な規模を持続的に活用していく旨が示されました。
また、2022年のロシアによるウクライナ侵攻を契機として、我が国は電力需給のひっ迫やエネルギー価格の高騰等、極めて緊迫したエネルギー危機に直面し、我が国のエネルギー供給体制が脆弱であり、エネルギー安全保障上の課題を抱えていることを改めて認識することとなりました。
そうした認識の上で策定された「GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針(2023年2月閣議決定)」において、「再生可能エネルギー、原子力などエネルギー安全保障に寄与し、脱炭素効果の高い電源を最大限活用する」方針が示され、その後、再生可能エネルギーの最大限の導入促進や安全確保を大前提とした原子力の活用と廃炉の推進に向け「GX脱炭素電源法」が2023年5月成立しました。
また、原子力委員会において策定された「原子力利用に関する基本的考え方(2023年2月原子力委員会決定)」においても、安全性確保が大前提という認識の下、エネルギー供給力を確保するために、CO2等の温室効果ガスを発電時に排出せず、準国産エネルギーともいわれる原子力エネルギーの活用を図っていくことが非常に重要であるとされています。そして、この基本的考え方においては、核燃料サイクルについて、利用目的のないプルトニウムは持たないという原則を引き続き堅持し、原子力事業者間の連携・協力を深めつつ、プルサーマルを一層推進する必要がある旨が示されています。
我が国のエネルギー政策を確実に進めるため、私たち使用済燃料再処理・廃炉推進機構は、核燃料サイクルの中核をなす「再処理事業」および「MOX燃料加工事業」の実施主体としての責任をしっかりと果たしてまいります。
出典:(一財)日本原子力文化財団「原子力・エネルギー図面集」を基に作成